前橋協立病院
地域医療体験セミナーでの実習に参加して頂きありがとうございました。時間は限られていましたが地域医療を担う病院を肌で感じてもらえたことと思います。
当院は、急性期医療からリハビリテーション、在宅医療まで幅広く総合的に医療・福祉に取り組んでいます。とりわけ在宅医療は今後ますます需要が高まると考えられます。当院も2012年に在宅療養支援病院となり地域の患者さんからの要望に応えられるよう努力を継続しております。
加えて医師臨床研修病院として毎年初期研修医を受け入れております。さらに家庭医・総合医の育成に取り組んでおり家庭医・総合医養成のための後期研修プログラムが用意されています。
前橋協立病院に興味をもっていただけた方、家庭医・総合医や周産期医療、小児医療、リハビリテーション医療、在宅医療に興味のある方は、長期休暇などを利用した病院実習での病院の雰囲気や実際の医療現場を体験してみてください。
私たちの在宅療養支援診療所は約180件の在宅患者さんを定期的に診療させていただいており、そのうちの120名の患者さんは24時間体制でサポートさせていただいております。
在宅医療は、病院における診療と比べ、実施できる検査が限られます。その一方で、ご自宅における診療のため、患者さんの住環境、普段の表情、暮らしぶり、歴史など多くの情報を収集することができます。文字通り、「医療者にとってはアウェイ、多くの患者さんにとってはホーム」というのが在宅医療の特徴です。そのため、訪問診療においては、患者さんやご家族との医療面接の技法や、身体診察の技術が重要となります。また、患者さんの医学的側面だけでなく、心理、社会的側面にも注目するBio-Psycho-Social modelの技法や、ご家族の状況や関係性をふまえた家族志向ケアを実践することが求められます。
このような医療を体験していただくことで、将来のキャリアを考える上での、多少なりのヒントとなれば存外の喜びです。
当院は医療生協の病院であり、地域の方々が出資して建てられた病院です。出資していただいた患者さんのことを組合員さんといい、各地で班を組織しています。
今回セミナーに参加された学生さんの中には、班会に赴かれた方もいらっしゃると思いますが、この班会という集まりは、各地域で暮らす組合員さん達が病気になった時に病院を利用するだけでなく、日常での保健予防活動や、明るいまちづくりのための地域交流活動を行っているものです。班会では、気軽に集まって健康チェックをしたり、講師を招いて病気についての学習会を行ったり、他にも健康体操、輪投げ、コーラス、買い物が行われたりなどなど…班によって内容は様々です。
一人ひとりの患者さんには、病院から帰った後の生活があります。退院とは、医療の終わりではなく家に帰ってからが本番です。せっかく屋外歩行ができるようになっても、お家に帰って閉じこもってしまっては残念です。この地域での班の活動が、独居の高齢者の見守り活動になったり、退院後のリハビリや健康維持になったりしています。医師として将来ご活躍なさる皆さん、病院が行うまちづくり、そして地域の患者さんが自主的に行う健康づくりをぜひ見てみませんか?