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医学生へのメッセージ

桐生厚生総合病院

桐生厚生総合病院医学生のための地域医療体験セミナー in 桐生
 将来医師としての活躍を目指して頑張っている医学生の皆さん、こんにちは!皆さんの学生生活は、私たちが同年代に過ごした昔の医学生時代と比べて、勉強に費やす時間は量と質において大きく様変わりしていることでしょう。学期試験は頻回にあり、臨床実習も多く、遊ぶ時間もままならないらしいと伺っています。それも医学に関係する科学分野で新たな発見があれば、その関連する知識量は飛躍的に膨らみ、学問の発展に伴う医学生が知っておくべき必要事項も年々増大し、教科書も厚くなり、覚えるのも大変になっている勉強量にあるでしょう。記憶量は努力に比例するに違い無いですから。
 そんな事情であっても皆さんの貴重な時間を、今回開催される「医学生のための地域医療体験セミナー(日帰り)」の参加に割くことが出来るようであれば、ぜひ桐生厚生総合病院へ来て欲しいと思い、その参考のため、これから当病院の紹介をさせていただきます。
 現在“地域医療”とは、首都圏や県庁所在地など大都会から離れている地域や、更に先の山間僻地での医療を示す場合が多いようです。桐生厚生総合病院は群馬県東部人口17万人の桐生市・みどり市を基盤とする自治体病院です。設立目的は主に両市民が求める医療を担う基幹病院であることで、19の診療科、医師数約70名、二次救急指定病院であり、年間救急車搬送約3,500台。ほぼ24時間対応の医療提供を目指して、運営されています。当院の初期臨床研修制度は自由度が高く、一人ひとりの希望に適うよう柔軟な対応をしています。現在研修医6名が在籍し、誰もが忙しいだけでない中身の濃い勉強の毎日を朝から晩まで張り切って過ごしているようです。こうして医師としての基礎を身に付けるべき初期研修をしっかりと充実した内容で経験する事が、生涯学習が必須の典型である医師としての資質の善し悪しを決定するほどに大変重要だと考えるからです。日進月歩の医学知識や技術の発展に常に興味と情熱を傾けることはもちろん重要です。が、医療は患者さん、即ち“人“を診るのが基本であり、病気の診断と治療には、患者さんの人格、思考、心情や社会背景などの理解も何時の時代にあっても欠かせません。そして皆さん方が医師として活躍する時代には、総合的な視野をもつ人間性豊かな医師が、今以上に評価され求められる社会で、高質な医療への要求はより一段と高くなっていることでしょう。
 今後日本人の総人口は減り続け、特に労働者人口の比率が減り、国の財政や医療財源がさらに逼迫する三十年後は、医師が就職活動をする医師過剰時代へ突入する可能性が十分あるとされています。
 在学中から地域の患者さんに接し、地域医療への理解を深め、そこで働く気概を持って、勉学に励めば、皆さん“立派な先生”になれるでしょう。そこで桐生厚生総合病院でのセミナーは、実地臨床体験を優先し、そうした地域医療を考える医学生さんを応援しようと計画されました。それ故に皆さん方多数の参加を期待しています。

病院長: 丸田栄

 

医学生のための地域医療体験セミナー 数日型
 医療は、主に人の一生の大きな関心事である健康やさらに深刻な事態である生死に関わるがゆえに、多くの人たちの様々な場面で話題になり、話し合われ、評価され、そして様々な意見が交わされ、時に善悪や正誤の対立的な議論にもなって、最終的にその時代の社会の在り様を強く反映した“医療のあるべき姿”が共有されてきます。こうした議論の過程に医療者からの発言にはあまり大きな影響力はなく、かえって世論一般の形成にマスメディアを介して関わりを持つ人たちの評論が重要な役割を担い、いかに医療の望まれる内容が現実に行われてきているかを見たか、聞いたか、いわゆる経験したかが言葉を介して大きく社会に浸透するために、一般の人たちの思考に倍にも増して影響し、より重要視されているように思われます。その発言の基にある経験されたとする医療は、いわゆる“一を知れば万事が分かる”式の簡潔な判断論法から、日本の何処でも同じ内容でなされるべき医療として、地域性を超えて一般化された医療像になるのです。心すべきは医療者として、自分たちが提供する医療は何時も最善の普遍的な医療であることを強く期待され、そうあるはずと認識されるので、現実での結果が被医療者の望んだ医療とに違いを生じれば、由々しき問題として取り扱われる事態を招くと想定し、それを受ける覚悟を持っているかです。
 それは、時代が既に医療が患者さんのためにあり、医療機関、ましてや医師のためではない!医師の自己満足のためにあるのではない!との明白な考えが広く社会に受け入れられ、医療者がその規範に則して努力するのが現代医療だと認識されているからです。
 将来の日本の医療を推進すべき医学生の皆さんには、こうした医療の現状に臆することなく、患者さんの要望に応えるために、日々努力を重ね、応えられる技術と知性を備えた立派な医師に成長してほしいと思います。そうあるべきと時代が要求する医療はなかなか寛容ではないでしょうし、決して楽な道ではないと思います。しかし積極的に取り組む姿勢を堅持し、医学生の時も、研修医の時も、また専門医で活躍する時期にあっても、そう努めることが信頼される医療者になる、これからの医療をより前進させると考えるからです。推測に過ぎないかもしれませんが、これから来るとされる医師過剰時代を切り抜ける最善の方向は、信頼される医師であることと考えます。患者さんのいる所に医師は必ず求められます。そこではやはり市場原理も働き、最善の医療が期待され、最善の医師が選択され、“医者であれば誰でもいいや”とする社会通念はもはや存在しないでしょう。そうした10年20年後の医療を見据えた、しっかりとした自己の将来像を思い描いてください。 
 そうした未来志向で、当院への見学に来て頂けたら、何かしら資することは感じられるのではないかと思います。夢想天蓋な話だと思うでしょうが、気が付いた時は遅いのが社会です。時代はすばやく変わり、潮目に選択を違えると、大きく離されます。そんな切迫した緊張感も時には必要でしょう。ぜひ見学に来て見てください。心から歓迎します。

病院長: 丸田栄

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