公立藤岡総合病院
「医学生のための地域医療体験セミナーin藤岡」は平成26年8月に開催されました。附属外来センターに到着し、藤岡地域の医療の現状についての説明がありました。地域に密接した医療・高度な医療の提供、周辺の医療機関との連携がどのようにおこなわれているか、附属外来センターと公立藤岡総合病院とが1.5km離れている現状と平成29年に合体して新病院になることなど将来の展望についても話がありました。また地理的に藤岡市は埼玉県北部と隣接しており、患者全体の30%が埼玉県北部の住民で、埼玉県との医療連携も重要であるとの説明もありました。
外来センターでの体験セミナーのメインは訪問看護の現場を肌で感じることです。訪問看護は在宅医療における重要な役割を担う部門です。今回は外来センターに併設する訪問看護ステーション「はるかぜ」のスタッフとともに、定期的に訪問しているお宅にうかがいました。
患者さんは、脳梗塞後遺症、慢性呼吸不全、糖尿病のある方で、平成15年に脳梗塞を発症し、平成19年より呼吸不全で、気管切開し人工呼吸器を装着して呼吸機能は維持されていました。経口摂取できないため胃ろう造設し、自尿なく尿カテーテル留置してあります。インスリン注射を定時でうけています。寝たきりの状態で、生活動作においてすべて介助を必要とし、器械とクダにつながれている人でした。娘と二人暮らしで、日常は娘が介護し、月2回の医師の訪問診療、週4回の訪問看護、週1回の訪問リハビリ、週1回の訪問入浴の在宅介護サ-ビスをうけながら生活していました。
この日は、医療機器の点検、病状の観察、褥瘡予防、清潔ケアなどをおこないました。急変時には24時間対応すること、病態に応じて主治医への連絡や入院手配をおこなうこと、医療機器が故障した際や災害時、停電時の機器の電源確保や応急処置の方法の指導確認など、患者や家族と密接にかかわっていることの説明がありました
娘さんは訪問看護の処置をうけながら、日ごろお世話になっている看護師さんへの感謝の気持ちを、体験セミナーで随行した医学生の人に話してくれました。本を読んで学ぶことも大切ですが、地域でくらす人の生活の中にはいりこんで医療の現場の声や空気を肌で感じることは心に残る経験になったことと思います。
地域医療はその地域で暮らす人と密接にかかわります。地域ぐるみで病状や生活に応じた診療や援助をします。急性期から回復期、慢性期、在宅から施設まで、医療、介護、予防、住まいが切れ目なく、継続的に、そして一体となって取り組んでいます。これらを提供するのは医師、看護師のみならず、薬剤師、リハビリテーションスタッフ、保健師、栄養士、社会福祉士、ケアマネージャー、ボランティアなど様々な職種の人たちです。様々な職種が密に連携して地域医療は成り立ちます。
医学生のみなさん、「百聞は一見に如かず」、前橋や高崎から車で20~30分の藤岡市に来て地域医療を体験してみませんか。