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医学生へのメッセージ

桐生厚生総合病院

病院外観写真桐生差し替え地域医療体験セミナー in 群馬

 医学部入学後、医師養成に向けた毎日の授業が時間割通りに進行し、期末には試験対策の勉強をする。こうした繰り返される日常生活の中、眩しいほどに輝ける時間は在りますか?医師として活躍する自分を思い描いた熱意が、急に萎んでしまう喪失感を意識しますか?それとも医師になれるなら、必要な時に必要な勉強をすればいいのさ!と納得しますか?
 世の中は概して、自らが意図するようにはならないもので、同様に病気の治療も病人一人ひとりで違います。病院医療は診察と検査で始まり、結果を探り、考え、病態把握後に治療に入りますが、結果を待たず症状と病状だけで治療を開始しなければならない症例も沢山あり、一瞬にして全てが急変する症例も経験します。医療が扱う病とは人が患うものですから、人の尊厳を損なう医療行為は許されません。こうした認識が大切で、患者さんの視点で医療を見直したらどうでしょう。その答えを探す一助として、医学部生の皆さんへ向けた当院のセミナーは計画され、実習協力病院として、毎年開催されてきました。
 スライドを見て、解説を聞いて知った赤ちゃんの命の鼓動は、直接生まれたばかりの赤ちゃんを自分の手で支え、そして胸に抱いた時に感じる生命が発する温もり、拍動、息遣いや意志を伝える仕草?に決して勝ることはありません。純粋で無垢な生命体そのものから受け取る生命の息吹に説明はいりません。理屈抜きで命の尊さを感じられるはずです。
 医療はそうした大変愛おしい生命を救う、助ける、そのために発展してきた科学であり、技術なのです。しかも人を慈しむ大きな心がなければ、それを担える人が行わなければ、結果は良くても、医療を人に伝え、理解される手段はありません。ですから、秘めた熱い思いを抱く人たちが織りなす営みで在ることが求められます。そうした理解を目指して当院のセミナーは運営されてきました。今回の参加で何か感じる所、ありましたか?皆さんには赤ちゃんの温かい肌のふくよかな感触の魅力が絶大で、何かあれば何としても助けてあげたい!失ってはいけない!と人を思いやる医師としての自覚が湧いてきましたか。
 医療の原点は、当院で皆さんが直感した、かよわくも愛おしい命を助けたいと思う気持ちをどんな患者さんにも感じられる心にあると考えます。そうした有意義な体験ができた一日であったら、さらに皆さんの医学勉強への姿勢に少しでも良い刺激を与えることができたとしたら!当セミナーへ参加された意義を体験されたことになると考えます。有意義な経験だったと評価いただけたら、どうか後輩への紹介をお考えください。そうなれば会を催した私たちにはとても喜ばしいことです。知り合うも縁、皆さん方が試験に合格し将来医師になって再び当院へお迎えできる日があることを心からお待ちしています。

院長: 丸田 栄

数日型地域医療体験セミナー in 群馬

 医学部高学年になった皆さん方は、順次卒業試験、国家試験と待ち構える難関へ向けた気持ちの高まりと準備への焦りが徐々に芽生え始める頃でしょう。内心は、大丈夫だよ、きっと受かるよ、と理屈抜きの楽観や、落ちたらどうしよう、勉強が追い着かない、などの不安が交錯する思いに駆られることになりますね。私たちもそうでしたが、医学部生はいつの時代も試験となると、目の前の知識の膨大な山に押し潰されそうに感じるものです。それは現在の医学が日進月歩の様々な科学知識・技術を取り入れて、急速に‘新事実’の発見に努めてきた多大な成果によるものです。たとえばノーベル賞を受けたiPS細胞の研究は、疾病の究明と治療への道のりを歩き始め、多くの生命に関わる事実を解明し、新たな疑問が更に先の知見を開く線の関係から次々と繋がる円に変わりました。その環境で研究速度と新事実の発見は瞬く間に加速し、医学生が知るべき医学知識も増え続けています。
 対照的に人が学ぶとは、知識の集積であれ、技術の獲得であれ、それを担う人の時間を費やした努力と鍛錬が必要で、かつ自律的でなければその効率は削がれます。今を生きる医師であるならば、病を克服し社会復帰を果たしたいと強く願う患者さんたちを真摯に受け止める医療援助者としての自覚も大切です。施す者と施される者の関係ではなく、共に病を克服する協力者の仲間=チーム医療の一員として、一緒に治療を担う姿勢とコミュニケーションを大切にする関係にあることが重要です。こうした臨床医学を学ぶには望ましい恵まれた条件があり、良く整備された実習病院とそこでの経験内容が身に付くための良き指導とその充実した教育、そうした環境を活用できる誠実な勉強姿勢の総合が必要です。地域支援病院である桐生厚生総合病院のセミナーでは、こうした医療の現状の理解のため、大学病院とは違う医療を体験していただき、地域の患者さんに密着した診療実態の理解と、医師を目指す医学生としての自覚をさらに強固なものにして頂きたいと立案し、開催してきました。まず地域拠点病院とは単なる‘田舎病院’ではなく、先進の医療を貪欲に取り入れ、地域に還元しようと必死に頑張っている病院であることを理解して欲しい。そして地域医療とは、診療科の編成、病床施設や医療機器、組織や人的資源など様々な違いを超えて、患者さんの幸せのための医療!を共通の基本理念として実践していることを感じて頂きたい。そして押し付けでなく、もし皆さん方が地域医療の医師として活躍されることを如何に求められているかを肌で実感し、応えて頂けたら、大変有難いと思います。
 当セミナーを体験された皆さん方が地域医療への理解を深め、医師になる思いを一層強くされたとしたら、当セミナーは成功であり、大きな成果と考えます。
 最期に後輩の皆さん方も遠慮せず、気軽にご参加ください。

院長: 丸田 栄

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