下仁田厚生病院
下仁田厚生病院における「日帰り型地域医療体験セミナー」に参加して頂いた学生の皆さん、この度は大変お疲れ様でした。また、県の担当者の方、大学の先生方ならびに担当職員の方々には、セミナーに同行して頂き、お世話になりまして誠にありがとうございました。
当院は、「高齢化率日本一の地域医療を体験しよう」というテーマを掲げ、今年度、初めて受入れ側として参加させて頂きましたが、外来・一般病棟・療養病棟の患者さんの年齢の高さを実感して頂けたでしょうか。また、地域の「特別養護老人ホーム」へも見学に行って頂きました。世界遺産「荒船風穴」の見学は、あいにくの天気で寒いくらいでしたが、「荒船風穴」は、下仁田を起点にするのでないと、現地まで行くのが容易ではないため、日帰り型セミナーとしてはやや強行軍であったかもしれませんが、予定通り実施させて頂きました。皆さん、お疲れ様でした。
高齢化率58.5%の南牧村をはじめとして、当地域の高齢化率は、今後も更に高くなって行きます。それに伴って、独居老人や老々世帯の比率が、ますます増えて行くと予想されています。また、現在約1万人の地域人口も、急速に減少して行くと考えられています。このように、地域を取り巻く環境が、これから大きく変化しようとしている中で、地域医療を守って行くお手伝いを私たちはしているわけですが、都市部でも山間過疎地域でも、患者さんを診ることに変わりはありません。これから地域医療を担おうと思っている皆さんは、自分の医療知識や経験・技術を深めてから地域に貢献されるのが良いのではないでしょうか。当院に限らず、山間過疎地域では一般開業医が少なく、その地域の病院が、「かかりつけ医」の役割も担っているのが現状です。大病院のように指導医から手取り足取り指導してもらうことは、期待できませんが、逆に、自分から積極的に患者さんを診ることにより、得るものがあると思われます。そのためには、幅広い診断能力を持つことが基本であり、その他に、目の前の患者さんが緊急を要するか否かを判断する力とそれに対処する能力(自分で処置するか高次の病院に転送するか)を身につけている必要があります。
最後に、当院の宣伝をさせて頂きます。下仁田厚生病院は山間地域にありますが、冬の積雪は少なく、上信越自動車道の下仁田インターチェンジからは車で5分、また、高崎・下仁田間を結んでいる上信電鉄の下仁田駅からは、徒歩3分で病院に着けます。そのようなアクセスの良さから、現在、女性医師が常勤医として、埼玉県の和光市から新幹線も利用して毎日通勤されており、それをサポートするための院内の体制もしっかり整っています。可能であれば、皆さんが、将来私たちの同僚として、地域医療に貢献される日が来ることを願っております。
この度、下仁田厚生病院における地域医療体験セミナーに参加して頂いた学生の皆さん、どうもお疲れ様でした。
当院は、今年度、初めて受入れ側として参加させて頂いたので、充分な病院紹介やご案内が出来たかどうか、少し不安が残りました。セミナー終了時のアンケートでも、体験時間・見学時間が少ないことを挙げて頂きましたので、次回からの参考にさせて頂きます。なお、研修医との交流に関しては、現在のところ研修医が一人もいませんので、残念ながらできませんでした。その代わりに、大学院生の若手医師や外科の医師から話が聞けたり、救急車の対応を見られたりしたのではないでしょうか。
「高齢化率日本一の地域医療を体験しよう」という、テーマを掲げましたが、外来・一般病棟・療養病棟の患者さんの年齢の高さを実感して頂けたでしょうか。
また、地域の「特別養護老人ホーム」へも見学に行って頂きましたが、そこには、108歳の女性が入所していたはずです。
世界遺産「荒船風穴」の見学は、前日の荒天が嘘のように回復したため、予定通り出かけて頂きました。同じ世界遺産でも「富岡製糸場」は、比較的アクセスが良いのですが、「荒船風穴」の方は、下仁田を起点にするのでないと、行くのが簡単ではないため、やや強行軍であったかもしれませんが、企画させて頂きました。
平成25年10月時点における高齢化率は、南牧村58.5%、下仁田町42.3%、上野村41.9%と非常に高く、今後も更に高くなって行きます。また、現在約1万人の地域人口も、急速に減少して行くことが予想されています。当地域には一般開業医が少なく、当院がかかりつけ医の役割も担っているのが現状です。そこで、二つだけお話ししておきたいことがあります。その一つは、医師として僻地における地域医療を目指す場合は、幅広い診断力と特に目の前の患者さんが緊急を要するかどうかの判断力と対応力を身につける必要があるということです。また、二つ目は、オリエンテーションの時にもお話ししたように、当地域のような高齢患者さんが多い場合は、「誰でも偶然に複数の疾患を同時に有している可能性があり、医師は、患者さんの臨床像に対する複数の説明を探求すべきである」という「ヒッカムの格言」の方が、一般的な単一の病因を想定する「オッカムのカミソリ」よりも当てはまりやすいということです。
新カリキュラムによる臨床実習や新専門医制度に伴う卒後研修プログラムが大きく変わろうとしている現在、皆さんが今後どのような医師になるかを決めるのに際して、「情報をインターネットだけに頼らず、信頼できる先輩からの体験談や情報・アドバイスなども参考にした上で考えて頂きたい」という言葉をお贈りしておきたいと思います。最後になりますが、可能ならば、将来私達の同僚として地域医療に貢献される日が来ることを願っています。