原町赤十字病院
夏のセミナーで原町赤十字病院での研修に参加いただき有難うございました。まだ臨床医学の授業が始まらない時期に第一線の地域医療に触れることにより、皆さんが将来目指す医師の道の一つの参考になればと思います。原町赤十字病院での滞在時間が半日と短時間でしたが、訪問看護、胃内視鏡見学などで山間地の病院の雰囲気は少し味わえたかと思います。今度はぜひ数日型の体験セミナーで救急外来やがん患者さんの緩和医療の現場を体験いただければと存じます。教科書や大学病院では学べない貴重な経験ができると思いますし、医師や看護師を含む医療チームのスタッフの生の声を聞けるのも面白いかと思います。
私も40年ほど前は群馬大学の医学生でしたが、5年次に当時の結核療養所に2週間ほど実習に通い、大変感銘を受けたことを覚えております。皆さんの若い感性で現実の医療を体験することは、将来きっと役立つことと思います。
ちなみに当院の特色を上げますと、
1)感冒や胃腸炎などのcommon diseaseから癌、脳卒中、心筋梗塞など重症疾患まで幅広く診療にあたり、吾妻郡の地域医療を支えている。
2)救急医療、感染対策、がん診療で吾妻郡の地域医療をリードする中核病院。
3)上記の急性期医療に加え、長期療養患者にも対応する病院。
4)日本赤十字社に属するため、大規模災害に対して、DMATや赤十字救護班を派遣する。東日本大震災に対して3個班を派遣しました。私自身も救護班の一員として石巻市での救護活動に参加しました。
5)各種がんの早期発見・治療から緩和医療まで担当
6)緩和医療・訪問診療による在宅医療への積極的取り組み
7)健診事業・地域保健事業および地域の災害救助活動への参加
8)吾妻郡医師会との緊密な病診連携を中心とする良好な協力関係
以上のようになりますが、これらは医師だけでできることではありません。看護師やその他の医療スタッフをはじめ事務職員など総勢250名を超える職員の努力と協力で成し得ることです。医療の現場は厳しいことも多いですが、職場は意外と明るい雰囲気です。
またぜひ宿泊型体験実習に来てください。お待ちしております。
原町赤十字病院に2泊3日と短期間でしたが、「数日開催自主体験プログラム」に参加いただき有難うございます。昼間だけの病院実習ではできない、貴重な体験実習ができたことと思います。
大学の授業では、やっと臨床医学が始まったところで講義が中心と思います。いま勉強している医学がどのように現実の病院で患者さんのために活かされているか、なかなか理解しにくいと思います。また大学の附属病院ではあまりに大き過ぎて、医師の他様々な職種のスタッフが、医療にどのように係わっているか見当がつきにくいと思われます。
その点、当院のような病床数200床あまりの中規模の地方病院で体験実習すれば、医療の現場の状況が実体験として理解できるでしょう。当病院は24時間体制で200名近くの入院患者を受け入れ治療をしております。また昼間は毎日350名ほどの外来患者が受診に来ます。夜間や休日は救急患者を中心に救急外来で当直医が1~2名で診療します。救急患者は軽症から重症まで様々ですし、中には心肺停止の状態で救急車により運び込まれる患者もいます。また、専門的治療が至急必要で、ドクターヘリや救急車で都市の専門病院に搬送しなければいけないこともしばしばあります。教科書やレポートでは書ききれないことが日々起こっているのが病院の実情です。また当院の特徴としてがんの終末期の緩和医療、高齢者の在宅医療も積極的に行っております。現在の常勤医師数は16名ですが、看護師やその他のスタッフを含めると総勢250名を超える職員が地域の医療を支えるために協力して働いています。医師同士の協力体制もできており、チーム医療がうまくいっている病院とひそかに自負しております。
これから医師になられる皆さんが、将来どの臨床科目を専攻するか決めるのに相当迷われると思いますが、医学生時代にさまざまな病院や医療施設での実習や見学を是非お勧めしたいと思います。そこでの体験を通して自分の目指すべき医師像が見えてくるかもしれません。私も群馬大学医学部昭和53年卒ですが、学生時代に夏休みに自主的に2週間ほど結核療養所で実習したり、地元の都会の小さな病院で実習をお願いしたりして、大変感銘を受けたことを覚えています。内科を選んだのもその時の体験が影響しているかもしれません。
もしこのセミナーで当院の地域医療などに興味を持たれましたら、臨床実習として、また初期研修の「地域医療研修」として当院にぜひ来ていただければありがたいと思います。
いつでも歓迎いたします。