6-2 呼吸器外科(2)専門医キャリアパス
群馬大学医学部附属病院:Director; 清水 公裕

キャリアパス概要

日本人の死因の1位はがんであり、その中でも死亡率のトップは肺がんです。その肺がんの治療の中心である外科治療及び他科との連携で行なう集学的治療をコーディネイトするのが呼吸器外科医の大きな役割の1つです。今後、肺がん患者さんが増加することが確実となっている現状において、これらの外科治療及び集学的治療をコーディネイトできる呼吸器外科医の育成は社会的にも急務です。本キャリアパスにおいては呼吸器外科の基礎手技と専門技術を習得すると共に、臨床腫瘍学及び胸部救急にまで踏み込んだ研修をして頂き、最短期間で世界最高水準の呼吸器外科医を育てることを目標にしています。

キャリアパス到達目標

・臨床医に必要な3つの力、CCC:Clinical Skill 【S】Clinical Research Mind 【R】Character 【C】
一般外科の標準的な診療・救急対応能力とともに呼吸器外科医に必要な心臓血管外科的な技術も身につけ、どのような状況にも幅広く対応できる呼吸器外科医を育成する。【S】
呼吸器外科としての専門的治療を提供出来る技術を身につけると共に、肺がん等の胸部腫瘍に対する集学的治療をコーディネイトできる臨床腫瘍学的な知識を身につける。【S】 【R】
外科医として、また呼吸器外科専門医として患者を尊重し求められる高度な医療を提供できる技術と人間性を身につける。【C】

取得を目指す資格の詳細

外科専門医

外科専門医は、修練医が日本外科学会(以下、学会)に修練開始登録ののち、学会の指定した外科専門医修練施設(指定施設)における通算5年以上の修練を行い、外科専門医修練カリキュラム到達目標3に定める手術症例350例以上(術者として120例以上)経験した場合申請できる。書類審査並びに予備試験(MCQによる筆記試験)、認定試験(面接試験)を経て認定される。なお、修練期間は卒後初期臨床研修期間満了後6ヶ月以内に修練開始登録した場合に限り、臨床研修開始時まで遡って登録したとみなす。
到達目標3に定める経験する各領域の手術手技の最低症例数を示す。
①消化管および腹部内臓(50例)②乳腺(10例)③呼吸器(10例)④心臓・大血管(10例)⑤末梢血管(頭蓋内血管を除く)(10例)⑥頭頸部・体表・内分泌外科(皮膚、軟部組織、顔面、唾液腺、甲状腺、上皮小体、性腺、副腎など)(10例)⑦小児外科(10例)
⑧外傷(多発外傷を含む)(10例)⑨上記①~⑧の各分野における内視鏡手術(腹腔鏡・胸腔鏡を含む)(10例)修練期間中に術者または助手として、手術手技を350例以上経験する。術者としての経験が120例以上であること。

呼吸器外科専門医

呼吸器外科学会の定める以下の規定を満たした場合に申請することが出来る。審査は書類及び筆記試験により行う。
・外科専門医であること。
・卒後修練期間7年以上を有すること。
・認定修練施設において3年以上の修練期間を有すること。
・修練期間中に別に定める手術経験を有すること。
・呼吸器外科学に関する別に定める一定の業績(学会発表、論文発表)および研修業績(学会参加、学会が認めるセミナーや講習会への参加)を有すること。
・特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会(以下日本呼吸器外科学会と称する)および特定非営利活動法人日本胸部外科学会(以下日本胸部外科学会と称する)の会員であり、3年以上の会員歴を有すること。

病院・施設一覧(順不同)

MAP

キャリアパス・コース

コース図

先輩の声

清水 公裕‖平成5年卒業
当科においては呼吸器外科の専門医になる前に、まず大学で心臓血管外科、消化器外科、乳腺内分泌外科の全ての研修を受けます。その後に外科専門医修練施設で一般外科の研修を行なった上で呼吸器外科の専門研修を行ないます。したがって、呼吸器外科の知識以外にも外科として多くの分野の専門知識と、救急をふくめた一般外科の基礎知識、さらには血管外科手技など、どのような状況にも幅広く対応できる外科的能力が身に付きます。また、呼吸器外科の修練においても当科における県内の呼吸器外科専門施設では年間約400例の肺癌手術(群馬県内の7割程度)を行なっており、若手でも大都市に比べて一人一人の手術経験症例が多いのが特色です。また、胸腔鏡などの低侵襲手術や区域切除などの機能温存手術をいち早く取り入れており、最先端技術の習得が可能です。外科医において経験に勝る修練はなく、日常的な良性疾患から、救急・悪性疾患まで幅広くかつ多く経験できる当科での修練をおすすめします。

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